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会社設立のデメリットについて
1. 様々な規制がついてくる
会社組織が個人事業と比べて、すべての面で有利であるとは限りません。
2006年5月1日より、
- 「有限会社の資本金は300万円」
- 「株式会社の資本金は1000万円」
といった資本金の最低額が撤廃され、『資本金は1円以上ならばOK」というように大幅に改善され、以前と比べると制約は減っているのですが、個人事業と比べると多くの規制が残っています。
たとえば業種を変更する際、会社の場合は定款の「目的」内に制限されるのに対して、個人事業の場合は定款など存在しませんので、自由にできます。
そして、いざ会社設立という際に、他に出資者がいる場合には、会社が活動し、意思決定をするうえで、その出資者の意思を無視することができない場合があります(個人事業の場合は経営者のワンマン経営が可能です)。
出資金額に見合った利益分配(合同会社の場合は定款に定めた比率による分配)もしなければいけないので、儲けを独り占めすることもできなくなります。
事業を廃止するときも、個人事業ならば税務署への届出だけで済みますが、会社組織の場合は税務署への届出だけでなく、「会社の解散登記」も必要になります。会社の解散登記で3万円の収入印紙代、清算結了登記で2000円の収入印紙代、合計で3万2000円の印紙負担が発生します。(会社の規模によってはこの金額以上の金銭負担になります)
2. 利益が出ていなくても税金がかかる
会社を設立すると利益が出ているかどうかに関係がなく、毎年、
- 法人道府県民税均等割 約2万円
- 法人市町村民税均等割 約5万円
の負担が発生します。これらの税金は個人事業では発生しないものです。
3. 会計処理などの事務負担が個人事業よりは大きくなる
個人事業と比べて、会社の場合、事務負担は大きくなります。事務負担は、
- 会計処理
- 社会保険や労働保険の手続
- 会社組織に関する手続
に分けることができます。
会計処理についてですが、個人事業のときから「青色申告」で申告されていた方は、会計処理の方法は変わりませんので、日々の経理作業に関してはそれほど変わりません。大きく異なってくるのは「税務申告」の時です。
個人事業ならば「弥生会計」や「会計王」などのコンピュータ会計ソフトに領収書や売上を入力していけば、ボタン一つで確定申告の書類が作成できてしまいます。
会社でもこれら会計ソフトは使用することができるのですが、会社の税務申告の方法は個人事業と比べて複雑ですので、「税務申告書」までは作成してくれません。
よって、会社の場合は、会計ソフトが作成した「決算書」の数字を基に、税務申告の用紙に数字を転記していくことになります。
きちんとお金の出入りが正確に入力されているならば、決算書も正確なはずですので、その決算書をプリントアウトし、税務署に持っていって「申告書の書き方を教えて下さい」と申し出れば、税務署職員に指導してもらえますが、個人事業時代の「ボタン一つで」に比べると、手間には違いありません。
税務申告を税理士に依頼することもできますが、個人事業より税務申告書の作成が複雑になりますので、個人事業の申告より高額の依頼料を負担しなければいけません。
社会保険の事務についてですが、法人は社会保険への加入が義務づけられています。
社会保険は加入時だけではなく、年1回の定期的な届出や申告も必要です。それだけでなく、従業員の入退社、結婚、賃金改定等、その度に手続が必要になります。
社会保険や労働保険と無縁だった個人事業主が会社を設立すると、こうした社会保険関係の事務手続きも確実に増えることになります。
会社組織に関する事務についてですが、登記簿謄本に記載されている登記事項に変更があった場合には、その度に登記を変更しなければいけません。個人事業には「登記簿謄本」自体が存在しませんので、この手続も事務負担が増加する原因となります。
しかし、こうしたデメリットを考慮しても
- 定款を作成し、規則に沿って事業展開をしている
- 資本金を一定額投資している
- 役員の住所氏名が登記簿謄本を見れば一目瞭然である
などで対外的信用を得られることを考えると、総合的にみて会社組織にしたほうが断然メリットは多いです。
これらデメリットの部分は『会社が社会的信用を高めるにあたって必要不可欠な手続負担』といえます。このデメリットを負担しても「会社設立の方が有利」と思える方のみ会社設立を御検討下さい。
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